低い出力は条件であって、診断ではない
ShureはSM7Bの感度を−59 dBV/Paとし、60 dBを超えるゲインを持つプリアンプ、または使用中のプリアンプで足りない場合にはインラインブースターを勧めている。これは有用な技術情報だが、しばしば間違った制作上の結論に変わる。波形が小さく見えたら、すぐに別の機材が必要だという結論だ。この数値が示すのは、一定の音圧に対してマイクがどれだけの電圧を出すかだけである。演奏者が遠すぎるのか、インターフェースのクリーンなゲインが本当に不足しているのか、単にモニター音量が小さいのかまでは教えてくれない。
アクセサリーの一覧ではなく、音源から始める。想定した距離で最も小さいフレーズと最も大きいフレーズを演奏してもらい、文脈の中で聴きながらプリアンプを上げる。リハーサル時ではなく本番のピークに余裕を残し、録音後は再生音量をそろえて比べる。チェーンが実用的な録音レベルに届かず、ノイズや操作範囲に無理が出るとき、インラインブースターには理由が生まれる。しかしそれは自動的な音質向上装置ではなく、カプセルに届く前に失われた明瞭さを取り戻すこともできない。
距離が最初のEQになる
Shureのガイドは、声をマイクからおよそ1〜6インチ、つまり2.54〜15センチの位置に置くよう案内している。さらに実用上の結果も明記している。近づけば低音が温かくなり、離れれば低音が減る。SM7Bでは数センチの移動が入力レベル以上のものを変える。胸の響き、子音、息、部屋鳴り、低域の重さがトラックに入る割合まで変わる。別のセッションのゲイン値をコピーしても同じ音にならないのはそのためだ。口とマイクの位置関係が、すでにひとつのEQカーブなのである。
背面スイッチに触れる前に、その位置関係を決める。一般的な録音には標準ウインドスクリーンを使い、近接した話し声で破裂音や風をさらに抑えたいときは大きいA7WSを使う。ブームで再現できる位置を固定し、同じ一文を近距離、中間、少しオフアクシスで録る。必要な親密さを持つテイクを選んだあとで、ローカットやプレゼンスブーストを判断する。ガイドではローカットを低域の妨害軽減、プレゼンスブーストを中域の明瞭度向上に使えるとしているが、これらは動き続ける音源の救済ではなく、位置を決めたあとの小さな決断として最もよく働く。
テイク全体を持ちこたえるチェーンをつくる
ひとつのテストフレーズが豊かに聴こえただけでは、セットアップは完成していない。極端に近い位置は説得力のある低音をつくる一方、歌い手が顔を振る、高音で体を引く、破裂音をウインドスクリーンに強く当てると不安定になりやすい。少し離した位置はソロで地味に感じても、演奏全体の音色とレベルを均一に保つことがある。実用的な設定とは、エンジニアが一行ごとに追いかけなくても、ヴァース、コーラス、呼吸、身体の動きを通して持ちこたえる設定だ。
最終的なゲインは、メーターだけを見ず、実際のモニターチェーンと短いプレイバックを聴きながら決める。確認するのは三つ。小さい音節の明瞭さ、大きいフレーズの余裕、そしてリスニング音量まで上げたときにノイズや部屋の質感が邪魔にならないかだ。ゲインが必要なら意図を持って足す。音色が違うなら、まず距離、角度、ウインドスクリーン、発声へ戻る。SM7Bはコントロールがシンプルだからこそ、この順序に応えてくれる。チェーンの中で最も細かなプロセッサーは、演者とマイク位置のままだ。